本のムシはやがて蝶になる

感性を磨き続けたいアラフィフ主婦の読書記録。好きなジャンルはアート、音楽、メンタル、生き方など。ちょっぴり繊細なHSP気質。

【読書記録】『たゆたえども沈まず』原田マハ 著

原田マハさんのアートをモチーフにした

小説が好きです。

 

元々アートが好きだけど、

原田マハさんのアート小説を読むと

ますますアートや小説に出てくる

アーティストが好きになります。

 

この本に登場するのはゴッホ

ゴッホの壮絶な人生を描いたアート小説です。

 

19世紀末のパリ。

ゴッホの弟テオは画商として

その時の流行りに応じて人気作家の作品を

売りながら兄へ仕送りし献身的に支えていく。

 

ゴッホの作品が世の中に受け入れられず、

またゴッホも受け入れられる画風の

作品を描こうとせず、

弟テオが仕送りしたお金をお酒に使ってしまう。

そんなうまくいかない日々に

ゴッホもテオも憔悴していく。

 

日本に憧れ、自分だけの表現を追い求める

ゴッホをパリで浮世絵を売る

日本人画商、林忠正

林の助手の加納重吉(架空の人物)も

テオとともに支えていく。

 

「画家、ゴッホを世界に認めさせるために

強くなってください。」

 

テオとゴッホの兄弟愛、強い絆で繋がりながらも

やがて破滅へと向かっていく。

 

ゴッホは愛情溢れる優しい人なのだけど、

それを伝えることに不器用だったのでしょう。

そしてもがき続け、

命尽きるまで人間らしい画家であろうとした。

 

ゴッホは「耳切り事件」以来、

人生の坂道を転落していく。

病院や療養院を転々とし、

最後にサン=レミの療養院へ入院するが

そこで彼がいちばん描きたかったもの描き上げる。

ゴッホ、テオ、林忠正、重吉の4人の魂が共鳴したとき、傑作が生まれたのだ。

その中の1点がこの本の表紙になっている「星月夜」。

 

ゴッホの半生を描いた小説で

史実とフィクションをうまく絡ませた

学芸員の経歴をお持ちの原田マハさん

にしか書けない小説。

ゴッホが魂をかけて生み出した

作品1点1点に尊さと愛おしさを感じました。

 

原田マハさんの新刊も発売されましたね。

こちらもゴッホがテーマで気になります。

 


アートランキング