【読書記録】『手のひらのトークン』安西水丸 著
安西水丸さんのシンプルでよどみのない線、見るとすぐに水丸さんの絵だとわかる独特のタッチ。
どこか力の抜けた感じが好きでした。
先日、たまたま古書店でこの本を見つけて
『あ、あの水丸さんの本だ!』と思って読んでみたら
読みやすくておもしろい。
小説家やエッセイストとしても幅広く活躍され、
多才な方だったんだなと今さらながら知った。
この本は水丸さんの日記のような小説。
1960年年代後半、勤めていた電通を辞めて、
アメリカのNYに渡り、
アメリカの広告制作会社で働きながら
当時付き合っていた彼女を呼び寄せてNYで過ごした日々を綴っている。
ベトナム戦争とサイケデリックアートの時代のニューヨーク。
小説の中で彼女とよく映画を見に行くシーンが出てくる。
その頃流行った映画や音楽のことも知ることができて
ニューヨークに住んでいるような気分になれた。
【読書記録】物語の中には多様な人生がある『三つ編み』 レティシア・コロンバニ 著
小泉今日子さんが絶賛されていたので
読んでみました。
インド、イタリア、カナダの
3つの大陸で暮らす3人の女性。
年齢も違い、境遇も異なり、面識もない
3人の女性が社会に押しつけられる困難と
差別に立ち向かいながら
自由と自立を勝ち取る過程を描いている。
3人3様の人生だけど、
この3人に共通するのは
“自分の意思を貫く勇気と行動力“を
持っているところ。
そして、3人のそれぞれの人生が
最後に『髪』でつながる。
髪は女性の象徴であり、
女性としての尊厳の象徴。
壮大なストーリーに勇気を貰え、
清々しい気持ちにもなりました。
たくさんの物語を知ることは、
より多くの理解を得ることにつながる。
生き方、世の中、人の気持ちを理解するために
いろいろな物語を読んでいきたいと思った。
【読書記録】『ない仕事の作り方』 みうらじゅん 著
『一体本業は何?』
謎に包まれたみうらじゅんさんの仕事術について。
アイデアの閃き方、ネーミング術、ブームの起こし方、編集者を巻き込む接待術まで教えてくれる本です。
まずは自分がコレ!と思ったことを自分をなくすほど我を忘れて夢中になってやり続ける。
これは私が最近読んだ、好きなことを仕事にして活躍されている方が書かれた本には必ず同じようなことが書かれてました。
まず自分自身を洗脳して、世の中になかった新しい発想や切り口を発信し続けて周りを洗脳していく。
『ない仕事』とは依頼もないのに勝手にやった仕事。それをプロデュースして世の中に広めていくところが凄い。
みうらじゅんさんは、一見無駄なことをやってるみたいだけどとても賢くてこれからは必要な仕事術かもしれない。
仕事は『自分探し』ではなく『自分なくし』(笑)
『不安タスティック!』
『権威、濃すぎ』
とか、今となってはちょっと古いけど
懐かしのみうらじゅん語録も出てきて笑えました。
みうらじゅんさんの他の著者も読んでみたいなぁ。
【読書記録】いろんな本が読みたくなる 『小泉今日子 書評集』
読売新聞の読書委員を38歳〜48歳までの10年間務められた小泉今日子さん。
この本は10年間毎週日曜日に読売新聞の書評欄に掲載されたものをまとめたもの。
小泉今日子さんといえばアイドル歌手や女優のイメージしかなかったので、読書家でこんなに素晴らしい書評まで執筆されるのには驚きました。
“人と喋るのが得意じゃないので本を読んでいた。仕事の合間に本を読んでいれば人からあまり話しかけられない。本はそんな小道具だった“ そうです。
私も同じなので勝手に親近感を持ちました。
本を読んだ時のご自身の心境を絡めながら、等身大の言葉で感じたことを綴っていてその本を読んでみたくなります。
小泉今日子さんという一人の女性の生き方や考えていることまで知ることができる。
そんなところもこの本の魅力です。