【読書記録】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 著
著者のブレイディみかこさんは英国•ブライトン在住。
ブライトンには私も語学留学で2年ほど滞在したことがあるので興味があって読んでみました。
人種も貧富の差もさまざまな生徒たちがいる中学校に通う10歳の息子さんを通して日々気付いたことが綴られています。
イギリスのリアルな社会問題を親子で共に考え、悩みながら毎日を乗り越えていくというストーリー。
この本を読んで
“多様性“という本当の意味が少しわかった気がする。
マルチカルチュラルな多様性ワールド、イギリス。
多様性は物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えない。
多様性はめんどくさいけど無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思うと息子さんに教える。
他者について『知ろう』『理解しよう』といった『知ろうとする行動』がないと無知なままで、偏見や差別が生まれるんですね。
学校でもあえて蓋をせずFGMに関する授業をしたりしている。
“この国の教育は波風を立ててでも少数の少女たちを保護することを選ぶ。
そして、こうやって波風が立ってしまった日常を体験することも、様々な文化や慣習を持つ人々が存在する国で生きていくための訓練の一つなのだろうか。“
“シンパシーとエンパシー“
この違い、あまり意識していなかったけど
シンパシーはふつうに同情したり共感することで、
人間が抱く自然な感情。
エンパシーは他人の感情や経験を理解する能力で知的作業。
イギリスの中学校では『ライフ•スキル教育』という教科があって、英国の公立学校教育では社会において充実した積極的な役割を果たす準備をするための知識とスキルを身につけるために『シティズンシップ・エデュケーション』が義務付けられているそう。
その期末試験の最初の問題が『エンパシーとは何か』という問題だった。
世界中で起きているいろいろな混乱を乗り越えていくには自分とは違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみることが大事だと中学校で教えている。
エンパシーは感情ではなく、能力だから学ぶ(教える)ことができるんですね。
ある日、教室で差別的なことを言われてカッとなって殴りあいのケンカになった2人の生徒に先生は平等に叱った。
“暴力は言葉でもふるえるんです。2人とも殴られるよりそっちの方が痛かったでしょう“
どの差別がいけないということより、人を傷つけることはどんなことでもよくないのだと先生は教えている。
日本で生活していると考えることがないようなことを知ることができました。
子供の視点で書かれているのでわかりやすいし、
押し付けがましくなく、いろいろなことを考えるきっかけをくれる本でした。