本のムシはやがて蝶になる

感性を磨き続けたいアラフィフ主婦の読書記録。好きなジャンルはアート、音楽、メンタル、生き方など。ちょっぴり繊細なHSP気質。

【映画鑑賞記録】ますます本の魅力にハマりました『ブックセラーズ』

映画『ブックセラーズ』を
観てきました。

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世界最大規模の
“ニューヨーク ブックフェア“に
集うブックセラーたちの
世界に迫る
ドキュメンタリー映画

 

業界で名を知られる
ブックディーラー、
書店主、
コレクター、
本を探し、本を愛する
個性豊かな人たちが登場して
本の魅力を語ります。

雑然と本が並べられ、
積み上げてある
古本屋、書店、図書館の雰囲気が
とても素敵で
ニューヨークに旅行して
古本屋巡りをしているような
気分になりました。

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ものすごい量の書物に囲まれた空間で
どこに何があって、
その本がどういった内容で
前の持ち主はどんな人か、
どういった経緯でここに来たのか
などを把握している店主が
かっこよく見えました。

 

本は単なるモノではなく、
人から人へと渡り
大切にされてきたもの。

 

紙の本には今までの持ち主の思いがあり、
それを手に取って感じることができる。
そんな古い書物の魅力も教えてくれる映画でした。

 

ブックセラーたちの表情が
生き生きしていて、
知的好奇心に満ちた目をされていたのが

印象的でした。

(画像はサイトからお借りしました)

 

【読書記録】『青のフェルマータ』村山由佳 著

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精神的ショックで言葉を失った少女が

オーストリアのイルカ研究所で
イルカの世話や、
自閉症を患う3歳の女の子のお世話をしながら
成長していくストーリー。

 

静かな海、青く澄んだ空、
イルカの鳴き声や眼差しや愛らしさ、
心の奥深くに響くチェロの旋律を
美しく描写されていて心が満たされました。

 

イルカを始めとする動物たちが人間の抱える
『心の傷』や『心の障害』を癒すことがあるという
アニマルセラピー。

 

人間相手だと自分の『心の傷』を
隠そうとするあまり、
意固地になったり
不自然な態度を取ったりしがちな人たちも
動物相手なら無防備になって
『本当の自分』をさらけ出すことができる。

 

本当の自分と向き合わなければ、
心の傷は改善されないというから
『本当の自分』をさらけ出して
逃げずに向き合うことって大切なこと。

 

素直に自分の心の傷を見つめて、
弱さをさらけ出し、
そんな弱い時の自分でも
イルカたちはいつもと変わらない態度で
寄り添ってくれる。


そこがアニマルセラピーの凄いところなんだろな
と思った。

 

そして、その強さで隠していた中から
こぼれ出た弱さこそが
その人の本当の魅力なんだということに
気付かさせてくれる小説でした。

【読書記録】『仕事にしばられない生き方』 ヤマザキマリ 著

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著者のヤマザキマリさんは漫画家で、
映画にもなった『テルマエロマエ』の作者です。

 

17歳で絵を学ぶためにイタリアへ留学し
イタリア、シリア、ポルトガルアメリカ、日本と
生活習慣も宗教も違う国で暮らす。

 

仕事はチリ紙交換、絵描き、大学教師、
日伊協会事務員、旅番組でのリポーターなど
様々な職業を経験され、
読む前に想像していたのよりも
ずっと波瀾万丈な人生を経験されていて、
そこから語られる哲学に共感しました。

 

海外で借金返済のために仕事を掛け持ちしたり、
仕事で活躍すれば上司に妬まれたりと
トラブルがあるたびに働き方について考え
働き方を変えてきた著者が
国際的な広い視野で捉えた
自由に生きるための仕事やお金に対する
向き合い方を語る
奥の深い内容でした。


いろいろな経験を全て糧にして
仕事にしてしまうエネルギッシュさは凄い。
その中で好きな仕事ならば
どこまで頑張るべきなのか?
お金にならない職業を
いつまで続けるのか?
など経験をもとに語っています。


そして、
著者が貫いてきた仕事やお金においての考え方は

『お金がすべて』ではない価値観
『お金がすべて』というパワフルな価値観に
打ちのめされないためには、
それに負けないだけの価値観を
自分の中に培わなければいけない。
一元的ではない、ものを見る目、考える力を
身につけなければいけない。
芸術も文学も映画も音楽もそのためにある。

というもの。

他人に自分を映すことでしか
自分のことを確認できないから、
自分自身に芯がない。
だから常に不安でたまらない。
この漠然とした不安がお金と結びつくと、
強迫観念のように常にお金のことを
意識しないではいられなくなる。

 

お金の毒性に支配されないためには、
不安や孤独とどうしたら仲良くしていけるかを
考えた方がいい。
生きるエネルギーを乗っ取られないためには
楽しいこと、面白いことだって
この世にはたくさんあるだから
明るい方に顔を向けてそっちを思い存分やればいい。

 

“やるだけやってダメなら、場所を変えてみる“
やれることをやったうえで、
その場所がどうしても自分に合わないと
思うんだったら
思い切って場所を移ればいい。
『なんか違うな』と思ったらパッと離れたっていい。

 


また、著者がアメリカの競争社会を経験して
感じたことを語る部分を
読んで怖くなった。

 

社会に利益をもたらすエリートと
そうじゃない人の生産性のあるなしで
人間が分けられる。
そしてこの考え方の恐ろしいところは
『あたかも社会というものは
そもそもそんな風にできている』と
私達に思い込まそうとするところ。

 

弱肉強食の現実を生き延びた者だけが
幸せになる権利がある。
だからそれは一体何のためになのかも
わからなくても働き続けなきゃいけない。
そんな生き方の先に幸せがあるなんて
とうてい思えません。

 

『生産性のない人間には価値がない』
という主張をする人達は
自分たちだけは勝ち抜くことができると
どうして信じられるのでしょうか。

 

本人の意志とか頑張りではどうにもならないこと
だってあるし、
そういうのも含めたのが“生きていく“
ということなんだと思うんだけど。


世界の歴史をひもといていくと欲望や孤独が荒れ狂い、
世の中が自分たちの都合のいい
思い通りのものでないとわかると暴走を始め、
これらが国どうしで起こると行き着く先は戦争になる。

 

そう思うと怖くなる。
でも人間には知性があるし、
考える力もあるはず。
エリートとして生きていくことも
大切かもしれないけど
いろんな世界を見て、
自分の価値観の外へ出て
自分以外の価値観を知っておくことは
世界平和にも繋がる大切なことなんですね。

 

お金に振り回されずに、
そして自分に合う仕事をしながら
生きていくのが
やっぱりいいよねと思った。

 

【読書記録】『聖なるあきらめ』が人を成熟させる/鈴木秀子・著

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年齢を重ねると体力は少しずつ衰えてくるけど
『エネルギーをうまく分配する』という能力が
若さと引き換えに上がってくる。

限られた時間を有効に使うために
自分の努力が活かされないことについては
エネルギーを注ぐことはやめる。

『あきらめる』という言葉からは
『断念する』『逃げる』という
消極的な姿勢を思い浮かべそうになりますが、
聖なるあきらめは『逃げる』どころか
『現実を受け止めて』自分の成長のために
理想に向かって最善の道を
選び取っていくことにつながる。

聖なるあきらめとは正しい選択をすること。

『相手の一言一句にこだわらない姿勢』が
人づきあいをよい形で長続きさせることに
つながる。

言葉には二面性があることを理解しておけば、
何を言われても自分の状況を明らめることができる。
『認められたい』『褒められたい』という
執着にこだわりすぎない。
それに依存してしまい、
自分の本当の気持ちを殺すことになってしまうから。

 

あきらめるべきなのか、
ただ逃げているだけなのか判断に悩みそうだけど
きっとこだわり過ぎるなということなんでしょうね。

【読書記録】『ちょっと敏感な人が気持ちよく生きる本』苑田純子・著 長沼睦雄・監修

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この本に書いてあるアドバイス
以前通っていたカウンセリングで受けた内容とほとんど同じでした。

 

人がたくさん集まる場が苦手で、

サークルや会社の大人数の飲み会などに誘われると気が重くなってしまう。
人が多い場所に出掛けると疲れてしまう。
人の気持ちや音や匂い、
光も敏感に感じ取る敏感過ぎる人。


同じ悩みを持っている方のヒントになればと思います。

 

会う人や場所を選ばないと、
人と会ったあとに
ものすごく疲れるのですが、
それは気を遣い過ぎることと
過剰な責任感のせいかもしれない。

 

“相手を助けることで役に立ついい人だと
思われたいという無意識の思いが、
助けて欲しい人を引き寄せ、共依存のような
関係になって自分のエネルギーを相手に
差し出してしまう。

 

“人の問題を何とかしようとする責任感を
手放さない限り、
周りの不調やトラブルを吸収するクセは
治らない。“

 

以前は優しさだと思っていましたが、
今は中途半端に相手を助けようとすることが
逆にお互いに不幸を呼ぶことになるので、
その悩みや問題が自分のものか
他人のものかをしっかり見極めて、
人の課題まで抱え込んで
悩まないようにしています。

 

“人の感情に影響を受けやすい“
職場や周りにいる人の機嫌が悪かったり、
怒ったり、落ち込んでいたりしていると
影響を受けてしまい、
相手に振り回されるような感覚があって、
人と関わることに苦手意識を感じてしまう。


健全な心の境界を保てるように意識する。

 

雰囲気の悪い場所へ行くとその環境のすさんだ雰囲気に圧倒されてしまう。

環境を選ぶ。


環境を変えることが難しい時は『観察モード法』
『目の前で起こっていることはドラマの中のことだ』と心の中で唱える。

 

“マインドフルネス瞑想“によって
自分の注意を向けるものを意識して
コントロールする

 

“遺伝子は変えられない。かといって環境を変えるのもそう簡単ではない。
ならば、認知の仕方、つまり物事をどう捉えるかを変えればいい。

 

『敏感脳』の4つの特徴
1 刺激に敏感
2 受け取った情報の処理が丁寧すぎる
3 行動に移すのに時間がかかる
4 感情や体の反応が大きい

 

敏感脳のために生きづらさを
感じることもあるけれど
それを活かすように工夫すれば、
敏感な気質はコンプレックスではなく
才能となって身を助けてくれるようになる。

 

たとえば
音や匂いに敏感な人なら
指揮者や演奏者の演奏の繊細な違いを
味わえたり、


お茶やお酒の微妙な香りの違いを
利き分けられる。

 

人の喜びや感謝の言葉ひとつで
体全体に鳥肌が立って、涙が出てくる。
人一倍大きな感動が味わえる。
そうした人より強い感情を絵画や音楽、
小説などの芸術作品にまとめてあげる
『敏感な人』は少なくない。

 

 

『敏感脳』脳が過労に陥らない工夫をする
1.強い刺激を減らす
   刺激の強い映像や音
   音
   光
   匂い
   人混み
   ジャンクフード
   こまめに1人になれる時間をつくる
   詰め込み行動は厳禁

 

2.環境を変える

3.脳の上書き修正
 人は心地よいことより嫌なことの方に
 敏感に反応するようにできている。
 体が反応してしまうのは
 『こういうことがあったらこう反応する』
 というクセが脳についてしまっているから。
 それなら脳のクセを変えてしまえばいい。

 

脳のクセを止める即効性のある方法は運動。

 

『群れ形』と『縄張り型』
縄張り型は上下関係などの気くばりにわずらわされずにすむ反面、
責任を1人で背負う苦労があるが、
『敏感過ぎる人』は縄張り型で生きていく方が心も体もラクでいられる。

 

『敏感だ』ということは

『いいものを見分ける力がある』ということ。


それなりに周りに合わせようとし
自分らしさを押し隠して頑張り続けていると
心や体が自分を守ろうと緊急信号を発するようになる。

 

そうなる前に
心と体が何を伝えようとしているかに
耳を傾けてあげよう。

 

【読書記録】『美しいものを』(花森安治のちいさな絵と言葉集)

 

 

暮らしにゆるぎない哲学を持たれていた

『暮らしの手帖』の初代編集長•花森安治氏の

心に響く言葉と沢山の挿画が本当に美しく

お洒落です。

 

暮らしを脅かす戦争を体験してもなお、
暮らしの中に繊細な美を感じ、大切にし、

暮らしの中に広め続けてきた氏の言葉には
強さ、力、そして優しさがありました。

 

どんな状況になったって、

美を感じる心さえあれば幸せでいられる。

 

自分の心ひとつで暮らしはどのようにでも

豊かになる。

そんなメッセージをこの本から受け取りました。

【読書記録】『音楽家の名言 あなたの演奏を変える127のメッセージ』

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有名ピアニストや偉大な作曲家たちの

名言を集めた本です。

少し解説もついています。

 

彼らの音楽に対する理念や志を

感じることができました。

学校で『音楽の父』と習ったバッハ。

 

ショパンシューマンがバッハを

手本に練習していたり、

ベートーヴェン

『音楽におけるバッハは大海だ。』

と 書き残していたり、

バッハはやはり音楽家にとっても

名音楽家なのだとわかりました。

 

シューベルトモーツァルト

賛美の言葉を残したり、

言葉から作曲家同士のつながりが

感じられるのも面白い。

 

そして、“不屈の男“ “逆境に打ち克つ男“と

いわれる ベートーヴェン

 

“多くの人に幸せを与えること以上に崇高で素晴らしいことはない“

 

“有限な存在でありながら無限の精神を持つ私たちはひたすら苦悩し、そして歓喜するために生まれてきた“

 

“真に称賛できる人物とは逆境に直面してきたときに、自分の生き方を貫ける人間なのだ“

 

“運命は耐え忍ぶ勇気を人間に与える“

 

“諸君拍手をしたまえ。喜劇は終わった“

(臨終の言葉)

 

ベートーヴェンが残した名言からも

強い精神力を持った人だったんだなと感じました。