本のムシはやがて蝶になる

感性を磨き続けたいアラフィフ主婦の読書記録。好きなジャンルはアート、音楽、メンタル、生き方など。ちょっぴり繊細なHSP気質。

【読書記録】『青のフェルマータ』村山由佳 著

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精神的ショックで言葉を失った少女が

オーストリアのイルカ研究所で
イルカの世話や、
自閉症を患う3歳の女の子のお世話をしながら
成長していくストーリー。

 

静かな海、青く澄んだ空、
イルカの鳴き声や眼差しや愛らしさ、
心の奥深くに響くチェロの旋律を
美しく描写されていて心が満たされました。

 

イルカを始めとする動物たちが人間の抱える
『心の傷』や『心の障害』を癒すことがあるという
アニマルセラピー。

 

人間相手だと自分の『心の傷』を
隠そうとするあまり、
意固地になったり
不自然な態度を取ったりしがちな人たちも
動物相手なら無防備になって
『本当の自分』をさらけ出すことができる。

 

本当の自分と向き合わなければ、
心の傷は改善されないというから
『本当の自分』をさらけ出して
逃げずに向き合うことって大切なこと。

 

素直に自分の心の傷を見つめて、
弱さをさらけ出し、
そんな弱い時の自分でも
イルカたちはいつもと変わらない態度で
寄り添ってくれる。


そこがアニマルセラピーの凄いところなんだろな
と思った。

 

そして、その強さで隠していた中から
こぼれ出た弱さこそが
その人の本当の魅力なんだということに
気付かさせてくれる小説でした。